それでもきっと、今日、僕等は何かの弾みで歩いていく 2



ガラクタ達の住処
結局、兄弟達はシティへと戻って行った。

答えを出せぬまま、まだ、この街に残ると言った僕を気遣う様にして。


「それでも、気が向いたら…ここを訪ねてくれれば良い」
一番上の兄さんは、僕に住所を書いた紙と、
それから財布にあった紙幣を僕に全部握らせてくれて言った。

多分、兄さんは…僕がまだ母さんの死を受け入れられないで
混乱していると思っているんだろう。
でも、そうかもしれないけれど、そうじゃない。
結局、師匠が言った通り、僕は自由になったのかもしれないけれど。
僕はその自由の遣い所を知らなかった。
母さんがいて、師匠がいる世界が、
僕にとって居心地が良かったから。
それ以外は、何もいらなかった。

いくら、この街が、生きる価値のないガラクタ達の住処だったとしても、
僕は、この場所が、この町が、やっぱり、好きだったから。


考えれば考えるほど、気持ちは絡まり考えは座礁に乗り上げる。
いっそこのまま、
被虐種として、怯えながら、
しかし少しの身を守る術を持って生きていく。

それでも、いいのかもしれない。




そうして、その日は、いつの間にか寝てしまっていた。
母さんの、ベッドで。



――― 2 ―――


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