終焉の日 27



まだ私にとって

判らないことだらけで

知らない事だらけで





そうして



私の戦いは終わったけど、

まだ、どこかで誰かの戦いは続いているのかもしれない




もう、私の物語は終わってしまうけれど、

それは、誰かの物語の始まりかもしれない。




でも、










そう、

そしてこれは終焉の物語



私の、終焉の日の、物語






同じ道を、あの時も通った。
そう、走って、走って、この場所に着いて、
私はあの化物と闘った。


道すがら、その広場の前を通り、自然と歩みが遅くなる。
そして、あの人に出会った。
私に、魔法の言葉をくれた、人。

今は、行方不明で、生きているかも判らないで、
酷い事を沢山言ってしまって、でも、……とても、優しい人で。

そうだ。
そんな都合のいい話はないかもしれないけど、
もしかしたら、また、この広場でばったりと会えるかもしれない。

不意にそんな希望が沸き、辺りを見回す。

まばらに行き交う人々。
あの戦いで崩壊した家々は殆どが元通りになっており、

……しかし、
現実はそんなに都合が良くない。
……あの人は、どこにもいない。



「……時間に、…遅れる…。行かなくっちゃ……」
そう呟き、視線を自分の進行方向に向け、

「………え…?」
その先の角を曲がる、スカートの、裾。
あの人と同じ、オレンジ色のフリルの……

まさか…まさか!
私は思わず駆け出す。



鼓動が、早くなる。
あの角を曲がれば……



ドン!!

「キャッ…」
「ッ!」
出会い頭、漫画の展開の様に誰かとぶつかり、私はよろめく。


「おっと……大丈夫か姫さん?」
声と共に、誰かが私を引っ張ってくれる、

「…ドルヒさん……」
いつも通りの少しニヤけたような彼の顔がそこにあった。

「へぇ…兵器って言うからにはすっげぇ重いと思ってたけど…意外と」
「な、何ですか…!」
思わずムッとした私の表情にドルヒさんは苦笑する。

「いや、それはまぁいいんだけどな…。
そんなに急いでどうしたんだ?」
「……あ」
そこの言葉に私は慌てて道の向こう側を見渡す。
……案の定、そこには、私が探していた人の影はなかった。
…ただの、気のせいだったようだ。

「誰か捜していたのか?」
「……えぇ、…し、知り合いなんですけど…その、」
「オレンジ色のフリルの?」
「え…?何で…」
「いや…何でというか、俺と姫さんがぶつかった時、
そのオレンジの人がこっち見て笑ってたからな
…なんでだろうと、あ、おい?」
「ドルヒさん、え、ええと、ありがとうございます!」

そこ言葉を聞くや否や、私は駆け出していた。
……やっぱり、あの人だ。…生きていた。

私は辺りを見回し、何度も視線を泳がす。
だが、結局彼女の姿を捕らえる事はなかった。
「………」


でも、
…それだけでも分かっていたんだ。
…あの人は生きていた。
…良かった…。

…だから、彼女とはいつか会える。


――― 27 ―――


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